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【在校生コラム】「アフリカ縦断を経て」(長文です。笑)

 

岡本 多聞(3年・15期生)

2023年の春に2ヶ月間エジプトから南アフリカまで合計7カ国を縦断しました。人生初めてのバックパッカーをアフリカから始めようと考えた理由は、誰もしてないことをやってみたかったからです。自分の周りでもアフリカに渡航経験のある人は一人もおらず、これが面白い経験ができるチャンスだと思いました。最初は友達と二人で旅立ったものの、ボツワナという国で相方がパスポートを盗まれ強制帰国となってしまったため、ボツワナ、ナミビア、そして南アフリカは一人旅となりました。本当にたくさんの経験をしました!

お金の意義

2ヶ月のアフリカ旅行は新たな発見の連続で、新たな価値観に多く触れました。まず日本との違いで気づいたのは、「お金」に対する価値観です。日本でお金はもちろん重要ですが他にも重要なものはたくさんあり、お金自体は生活を豊かにするためのものとしての意味合いが強いように思っていました。しかし、アフリカではお金に対する異常なまでの執着心があるような気がしました。エジプトでは勝手に付いてきたガイドにガイド代を請求され、タンザニアでは既にたくさんの乗客が乗っていたバスに、さらにお金を稼ぐため一人でも多くの乗客を押し込んでいて、乗客の快適さは度外視でした。道を歩いていても物乞いをされることが多かったです。南アフリカのケープタウンでは、お腹が減っているんだ、ご飯を買ってくれ、と道端で言われたり、タンザニアとザンビアを二泊三日で結ぶ寝台列車があるタンザン鉄道では、走行中でも、10歳にも満たない子供達に食べ物を乞われることがありました。貧困が蔓延っている国だからこそ、目にするものがたくさんありました。

そして、南アフリカをはじめとした多くの国で白人と黒人の経済格差を目の当たりにしました。ヒッチハイクで6時間ほど道路で待つこともありましたが、大きな車に乗っているのは高い確率で白人で、徒歩やバスでぎゅうぎゅうに押し込められていたのは高い確率で黒人でした。いまだにアパルトヘイトの名残りがあるように思えました。普通に徒歩で行けるところにまで車で行って、時間や体力を節約できるのは、金を持つ者達のなせる業なのかもしれません。

英語の功罪

そしてやはり、英語の凄さを再認識しました。バックパッカーホテルに多く泊まることがあり、世界中から来た人と接する機会が多くありました。そこではみんなが共通語の英語で文化の違いや言語の違いなどを話し合ったのですが、もし英語を話さなければ、この人達とコミュニケーションがとれないのだと実感しました。女性が肌を見せてはいけない国もあれば、グッドサインがFワードを意味する国だってある――。この地球は自分が思っていたより、異なった価値観、文化の上に成り立っているのだと改めて思いました。加えて、アフリカにおいての英語には、イギリスの影響力が非常に強く感じられました。衝撃的だったのはボツワナで、’How are you?’ という問いかけに対して、3歳の女の子がさらっと ‘I’m fine.’ と答えたことでした。彼ら固有の言語よりも、英語が家族の中で使われてる現れなのだと感じました。

自分が訪れたアフリカの国々で、英語が通じなかったのはエジプトだけでした。英語が通じないとここまで不便なのかと思いました。世界共通語で話すということは異なった文化圏や生活圏で暮らしている人々とコミュニケーションが取れるということである一方、アフリカに英語が浸透しすぎたせいで多くの民族言語が失われつつあるという話も、地元民から聞きました。固有の言語を話せる人が若者を中心に減っていることを彼らは嘆いており、影響力が強いが故の英語の負の側面も見ることができました。

アフリカの幸せの形

アフリカと聞くと多くの日本人は「裕福ではないところ」だとか、「あまり幸せそうでないところ」といったイメージを持つ人が多いのではないかと思います。実際、自分がアフリカに行く前もそのようなイメージを持っていました。しかし実情は、イメージとは大きく違いました。都市には欧米と何ら変わらないスーパーがありましたが、その反面でデジタルに依存しすぎないゆったりとしたライフスタイルに、彼らなりの幸せの形があると感じました。特に、彼らのライフスタイルはコミュニケーションの形とも密接に関わっているようでした。アフリカの人達の他人を拒まない姿勢は印象的であったと同時に、素敵なところだと思います。見慣れないアジア人である自分が、通りすがるどの人にグッドサインをしても、笑顔でグッドサインを返してくれる、そのカルチャーが心に残りました。バスの中でも赤の他人同士で話していることが多く、初めは公共交通機関で大声で話してうるさいなと感じましたが、途中でふと、自分が日本人の価値観という色眼鏡を通して物事を捉えていたことに気がつきました。一人で携帯をいじって没頭する時間より、周りから何と思われようとも、人と話している方が何倍も人生を豊かにできるのではないかと思いました。そういえば、世界を旅するバックパッカー達も、他人との距離が近かったです。そんな人たちとの交流を通して、自分も知らない人たちと接する際のコミュニケーションスタイルを忘れずにいようと思いました。

最後に

自分は幼少期にアメリカと香港に住んでおり、世界のことは比較的よく知っている方だと思っていました。しかし、今回の2ヶ月間のアフリカ縦断旅行を経て、自分の今までの価値観が根底から覆される経験をし、こんなにも知らない世界がまだあったのかと心が躍りました。世界は広いし、日本のいいところだって外の世界に出てみないとわかりません。人生は旅なので、これからも自分の旅は続きます。長文を読んでいただいてありがとうございました!

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